§3.なにはともあれ“増幅器”



 まぁ、そうゆうわけで(?)、とにもかくにも「増幅器」。…そう、リニアアンプを段取りしないことには話が前にむいて進みません。逆にいえばリニアさえ手に入れてしまえば、後戻りはできないだろうという、自分に対するプッシュアップの意味合いもあります。さあ、どうするか?

@)原産地は?
 つまり、日本製か外国製かってこと。リグは今や世界シェアのほとんどがメイド・イン・ジャパンと言っても過言ではありませんが、ことリニアに関しては少々事情が違うらしく、かなり舶来品が幅を利かせているのが現状です。この分野にうとい私ですら、ヘンリー、ETO、アメリトロン…等々外国のメーカの名前はいくつか知っています。
 確かに、外国製のリニアは余裕ある作りをしていて憧れる存在ではあるのですが、ここは少なくとも500Wでの申請を考えているので、あまり余裕がありすぎるのは困ります。よくありがちなウンkWなんて出力がいとも簡単に出てしまうようでは問題です(f^_^;。
 次に大きさ。ウサギ小屋のハムとしては、舶来品にありがちな冷蔵庫と見まがうようなドでかいコンソールタイプでは置き場所がありません。少なくともデスクに載せることのできるコンパクトさが要求されます。
 それから、これは私の思いこみかもしれませんが、舶来品はいざという時に何かと融通が利かないんじゃないかという不安があります。アフターサービスやオーバーホールが容易にできるというのは案外重要でしょう。これからの時代、メーカーも「売りっぱなし」じゃいけません。
 些細な故障で自分で修理するつもりだったが、肝心な交換部品が日本にはない規格のもので、簡単には入手不能でお手上げなんていうのも良く聞く話です。
 以上のような理由で、安い買い物じゃないわけですし、ここは安全を考えて日本製を選択することにしました。

A)球か石か?
 これについては、特に一家言がおありなOM諸氏は多かろうと思います。かくいう私もリニアアンプといえば、シャーシの間から鈍い光を放つヒーターが見えて…みたいなイメージ、つまり真空管式のそれを想像してしまいます。実際、いまでも、ハイパワーのリニアは真空管が幅を利かせているという状況もありますが、一方では以前から500W以下のクラスのリニアでは半導体を用いたモノがかなりのシェアを占めていて、近年では1kWクラスの国産リニアの分野においてもほとんどがソリッドステート化がなされています。
 とにもかくにも、私自身はこの「球か石か」の選択ついては特にこだわりはありませんでした。もちろん、その両者を比較できるだけの知識もありませんでしたし。ただ、漠然としたイメージで球のリニアは石のそれより余裕のある運用ができそうだ位の感覚があっただけです。
 しかし、本当のところ私は世代的には完全な「ソリッドステート世代」。真空管についてはほとんど知識がゼロに等しいのです。リニアも何台か自作したことはあります(50WクラスですがHi)がすべて半導体式でしたし、そういう意味でははたして球の面倒を見切れるかという不安はありました。
 それから長い目でみるとやはり真空管は尻すぼみになってしまうのではないかと思えるのです。今、球のリニアを使うことは、CD全盛の時代にあえて古いアナログのレコードを聴くようなもの。もちろん、リニアの場合、球と石ではその機能としての差はないのですが。
 しかし、あと10年20年先、仮にリニアが故障したとして、果たして補修部品、いやともすると球そのものが手に入るかどうか?そんな先々の視点で考えると、やはりソリッドステート製の方が、先見性という点でリードしているように思えるのです。

B)お値段(^^;
 うーむ、なんといっても、やっぱ最終的にネックになるのはこれでしょう(笑)。何といっても最近の主なリニアの相場といえば、軽く数十k円はします。私とて薄給の身(これは本当です)、普段Mコネ1つ買うのにもアップアップしているのに(これもまた事実です(^^;)、ましてや最新式のリニアなんて…当然不可能に近い状況です(涙)。
 実際、当初は中古での入手を前提にしていて、何台か現物にお目にかかったりもしました。しかし手ごろな価格のモノは総じて1世代、2世代前の機種やかなり使い込まれているフシあるものばかりで、いずれオーバーホールが必要な状況でした。逆に程度の良いモノはやはりそれなりの値段がついていて、やっぱり甘くないなぁという印象です。まぁ、今の時代ですから中古の販売店以外にもインターネットオークションとか、個人売買とかいうテもあるんですが、なにぶん安い買い物ではないだけに、やっぱり実地に現物を自分で確認して買うというのが絶対条件です。

C)結論は
 というワケで、かなり悩んだあげく選択したのは東京ハイパワー製の「HL1KFX」というオールソリッドステートのコンパクトなリニアアンプです。OUTPUT500Wpepで余裕はお世辞にもあるとはいえませんけど、狭い机の上でも邪魔にならない小ささとなんといってもそこそこ手ごろな価格は大きな魅力でした。
 実はこのリニア、数年前のモービルハム誌(現在は休刊状態)のカラーグラビアで紹介された時、そのコンパクトさと意外に緻密で頑丈そうな作りにちょっと内心気に入っていたという経緯があります(^_^*。